仕事にまつわらないエトセトラ

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【読書メモ】下町ロケット ガウディ計画

前作のロケット向け部品から舞台を移して、今作は医療機器に搭載される部品作成となります。医療機器といっても、診査機器ではなく、人工心臓や弁といった人体に組み込む機械となります。止まることや故障が許されない機器であるため、極限までの精密さが求められるとともに、命と向き合う必要が出てきます。そのため、今作では命の尊さを問う描写も多く、読んでいて目頭が熱くなることが何度もありました。

 

しかし、仕事への取り組み姿勢やひた向きさを伝えるスタンスは、今作でも変わりません。気になって、書き留めたセリフは次のようなものです。どれも物作りに行き詰まった部下達に対して、主人公が発した言葉となります。

 

どこに行っても楽なことばかりじゃない 。苦しいときが必ずある 。そんなときには 、拗ねるな 。そして逃げるな 。さらに人のせいにするな 。それから ─ ─夢を持て 。オレがお前に贈ってやれる言葉はこんなことぐらいしかない 

 

綺麗事かも知れないけれど 、人が人生の一部を削ってやる以上 、そこに何かの意味が欲しいと 、佃は思う 。

 

理詰めや数式で解決できる部分は実は易しい 。ところが 、あるところまで行くと理屈では解き明かせないものが残る 。そうなったらもう 、徹底的に試作品を積み上げるしかない 。作って試して 、また作る 。失敗し続けるかも知れない 。だけど 、独自のノウハウっていうのはそうした努力からしか生まれないんだ 

 

スマ ートにやろうと思うなよ 。泥臭くやれ 。頭のいい奴ってのは 、手を汚さず 、綺麗にやろうとしすぎるキライがあるが 、それじゃあ 、ダメだ 

 
下町ロケットという作品では、限られた資源(金や人材)の中で開発を行う中小企業の大変さのようなものがよく描かれています。 上記のセリフは、開発の中で行き詰まった際のセリフとなり、主人公の物作りに対する信念のようなものが、表現されています。
 
私自身は物作りに携わっていないものの、仕事をする上でも同じようなことが言えると感じています。ある程度経験を重ねてくると、スマートに、なるべく苦労せずに仕事を回したいという想いになってきます。ただ、それだけだと本当に良い成果というのは出しにくい、やはり泥臭く、トコトンやるという精神が必要なのだと実感させられるのが、この下町ロケットの醍醐味の一つかもしれませんね。
 
下町ロケット ガウディ計画 (小学館文庫)